【合格】中小企業診断士 令和2年 2次試験 再現答案【事例Ⅰ〜Ⅳ】
令和2年の中小企業診断士2次試験を受けてきました。
この記事では、再現答案を作りながら、どういうプロセスでその回答になったのか? も振り返っています。
追記:皆様の応援のおかげで、無事に合格することができました。得点開示したら各事例ごとに何点だったのかもお伝えする予定です。
事例Ⅰ
第1問
設問1
A社の老舗のブランド力と、企業グループの買収ノウハウ、飲食や売店の経営ノウハウ、営業支援によりシナジーを発揮し、事業開発と経営合理化により売り上げを伸ばし成長し、地域の活性化にも貢献するビジョン。
- 買収する際のビジョンなので、「シナジー」について考えました。
- シナジーを考える。つまり祖父の企業Gの強みとA社の強みを掛け合わせて、何ができるか?
- A社の強みは「ブランド力」しか見つかりませんでした
- 祖父はめちゃ有能なので強みがたくさん見つかりました。
- 買収の結果として望ましい物は?と考え、「売り上げを伸ばし成長する」は外れではないだろうと思い、記載。
- 文字数的に入りそうだったので「地域の活性化」も入れました。
- 結局は、A社の強みと戦略を答えさせる問題で、従来の設問1と最後の設問を合体させたような構成。
設問2
A社の強みであるブランド力を維持するため前の経営者とベテラン従業員の持つ酒造りの技術が必要だった。加えて従業員の雇用責任を引き継ぐことで買収を友好的にし地域へも貢献できるから。
- 最初は、従業員を引き継がないと日本酒作れないじゃん、ということしか見つけられず。
- 字数が100字なので他に何かないか?と思って探したところ、従業員の雇用を維持したいという前の経営者の思いが記載されていたので、後半はそこも盛り込みました。
- 経営者をわざわざ入れたところに、もう少し何か汲み取るべき内容がある気がしましたが、時間内に盛り込むことはできませんでした。
- 後から振り返ると、M&Aを成功させるための条件を答えさせる問題だったのだな、と思いますが本番では気がつかなかった・・・
第2問
ベテラン女性事務員が属人的に把握していた、複雑な事務作業についてはマニュアル化し、取引先との商売については顧客情報として整理した。それらをデータベース化しシステム化することで社内で共有し活用できるようにした。
- システム化のための準備なので、人の頭の中にあることを文字などのデータに落とし込んで整理すればいい。逆にそれ以外にポイントが分からなかったので非常に自信がない問題の一つ。
- システム化の内容を具体的に書けたら良かったのかも知れないが、そこまでできませんでした。
- なので、属人的な知識を社内で共有し活用、という形で無難にまとめたつもりです。
- 別の事例でもシステム化のためにコンサルタントは何をするか、という設問が出てきますし、過去問にもあったので今後も要注意ですね。
第3問
既存顧客との関係維持を行うルートセールスに対し、直販方式では新規顧客の開拓が必要。そのため、自社商品への深い理解、顧客ニーズを把握する能力、効果的なプレゼン能力、PDCAを回す能力、ノウハウを社内で共有する能力を求めた。
- 与件文からヒントを全く見つけられず、勘で書いた。
- 一文目でルートセールスと直販の対比を書いたのはテクニック的には良かったと思う。しかし「直販」が具体的にどんなものを指すのか分からないので、これも当てずっぽう。
- 与件文の読み取りだけじゃなくて、しっかり知識を使えますか?と試されている設問だと思った。
第4問
経験と勘に頼った評価制度から、MBOやコンピテンシー評価を導入するなど、外国人も含め公平で納得できる制度を導入する。給与については一部に成果主義を導入し優秀な人材に報いる。管理者に評価者訓練を行い、社長の属人的評価を改める。
- 現在の社長は現場で汗を流しながら評価も行っているが、総帥になるとそれはできなくなる。外国人も入って多様な価値観が社内に入ってくる→じゃあ客観的で公平な評価制度が必要だね!ということでMBOなどを入れました。
- 報酬についても年功序列とあったので一部に成果主義を導入しました。
- しかし、異なる事業部間のバランスなど、拾い切れていない要素も多く、満足いく仕上がりにはなりませんでした。
- 回答に使うキーワードはやはり知識がないと厳しい。この問題からも、二次試験の知識重視へのシフトを感じます。
- 買収で社員となった人、若い女性や外部人材、外国人の登用など、バックグラウンドの多様化に対応し会社を円滑に経営するための人事制度とは何か?を考えさせる問題だった。
事例Ⅱ
第1問
- S 無農薬で高品質なハーブを効率的に生産できる。乾燥粉末にし低コストで輸送できる。
- W Z社への一社依存、離島で立地が悪い
- O 島民との良好な関係、安眠効果のあるハーブの需要、ヘルスケアメーカーからの引き合い
- T Z社の取引消滅の可能性、島の人口減少と所得の低下
- これはあまり思い出せません・・・・
第2問
Z社一社依存の反省から、取引先企業は複数に分散する。加えて、最終製品の顧客ニーズも分散させる。これにより、一時のブームに左右されずに継続的に売り上げを確保できる取引先構成とするべきである。
- 「方向性」という、ゆるふわな問題要求なのに30点も配点があることに驚愕。
- どこにポイントがあったのか全く分からないが、なんとなく後半の内容は当たらずとも遠からずなのでは?と思いたい。
第3問
設問1
健康に関心の高い自社サイトユーザーという既存市場のため、新製品もある程度需要され売上に繋がった。
- 「上記の事象について説明せよ」なのでオンラインサイトでの販売がそこそこうまくいった理由を答える問題と解釈。
- その上で「アンゾフの製品・市場マトリックス」を使え、という制約条件あり。
- なので、市場は〜、製品は〜、だから〜 という構成に。
- 戦略の名称を答えるのは、問題の要求と違う気がしたのですが、それが吉と出るか・・・・
設問2
ハーブの効能などを、島の歴史や景観と一体でアピールしブランド力向上し愛顧向上。SNSでの口コミを促したり、ハーブのレシピなどのアイデアコンテストを実施し、製品開発に顧客を巻き込み、固定客化を図る。
- 第3問は自社ブランド育成の話、第4問は地域貢献の話、と切り分けて考えました。
- ブランド力を向上させ人を引きつけ、双方向のコミュニケーションで製品作りに巻き込んでいくことでさらに固定客に、という、ほとんどが問題文の言い直しのような 、論理関係のはっきりしない回答になっていて、あまり良くないなーと思いました。
第4問
美と健康に関心の高い参加者に対し、関係が良好な島民と連携し、島のイベントに参加しハーブのお浸しを食べられるツアーや、耕作放棄地を活用した農業体験を立案し、農家の増収・地域活性化を図る。
- 前述の通り、第3問は自社ブランド育成の話、第4問は地域貢献の話、と切り分けて考えました。
- 島民からの支持、耕作放棄地、など実現可能性の根拠に触れながら具体的な策を提示できたので、まずまずのできだと思っています。
事例Ⅲ
第1問
- 強み ステンレスの溶接・研磨の技術力、設計から施工まで一貫してできる、デザイナーからの信頼。
- 弱み 営業が非効率で、生産管理も不徹底であり、納期遅延が状態化している。
- 以降の設問で解決されるところを中心に抜き出しました。
第2問
設問1
- 問題点 受注ごとに担当者を決めており、製作前のすり合わせで時間がかかり、製作期間を圧迫してしまっている。
- 対応策 顧客ごとに担当者をつけ、CADを使って営業を行うなど効率的な活動を行い、製作期間を十分に確保する。
設問2
- 第3問にIT化の設問があり、問題文にも「業務プロセスの見直し」と「その対策の支援システムとしてIT化」とあるので、極力IT以外でまとめました。
- 営業の問題点は割と絞られていたのに対し、製造は問題点が山盛りすぎてどれを書けばいいか迷いました。
- これは本番では気がつかなかったが、ここで書いた解決策が(全てとは言わないまでも)しっかり第3問のIT化での支援に引き継がれている、一貫性があるかが大事なんだろうなと思いました。
第3問
標準化した作業や過去の受注と実際の納期をデータベース化する。社内にタブレット端末等を配布し、営業はそれらを活用し効率的な営業をし、製造部は受注状況や製作状況をリアルタイムで把握し生産計画に生かす。社内で情報共有することで効率化し納期遅延を防ぐ。
- 振り返ってみると、与件文に「業務プロセスの見直し」と「その対策の支援システムとしてIT化」とあるのは、第2問と第3問の切り分けのヒントでもあったのか・・・。第2問は「IT化の事前準備」、第3問は「IT化を具体的にどうするか」を答えさせる問題だったように思える。本番ではそこまで気がつかなかったわけですが・・・。
第4問
全ての工程で高い技術力を要するモニュメントに熟練技術者が専念するため、まずビル用製品で必要になる高い研磨の技術を全員が習得。モニュメントは作家の信頼を得て別の作家を紹介してもらうなどし拡大と充実を図る。
- これは本当に自信ないですね・・・特に後半。
- モニュメントをいきなりみんなができるようになるっていうのはちょっと無理かなと思ったので、そこは諦めて、ビル用製品は熟練じゃなくても誰でもできる状態にすれば熟練はモニュメントに専念できるからモニュメントを充実発展させられるよね、という風に考えました。
事例Ⅳ
第1問
設問1
優れている指標 棚卸資産回転率 3.91回
劣っている指標 売上高経常利益率 1.65%劣っている指標 自己資本比率 15.85%
- 優れている指標については、予備校の回答で「売上高総利益率」を上げているところも結構ありますが、これは明確に間違いだと私は思います。理由は、設問2との整合性が取れなくなるからです。
- 前提として、事例Ⅳの第1問の経営分析は「収益性」「効率性」「安全性」から指標を一つずつ選び、記述も3つの要素を過不足なく論じる、と言うのがセオリーであり、それに従うものとします。
- そして「優れている指標」に収益性の指標である「売上高総利益率」を選ぶと、前提のところでお話ししたセオリーから、設問2の回答で、最終的な利益が同業他社に比較して明らかに劣るD社について「収益性に優れている」と書くことになり、それは中小企業診断士の診断として明らかにおかしいと思うからです。最終的な利益の劣る会社の社長に「御社は収益性が優れていますね」と診断したら、普通、クビになると思います。
- 以上から、収益性の指標は「劣っている指標」に回します。借入の依存度が高く、利息が収益性を圧迫していることまで指摘したいので「売上高営業利益率」ではなく「売上高経常利益率」を選択します。
設問2
地域での評判が高く棚卸資産の効率性に優れる一方、
サービスの過剰と借入依存で収益性と安定性が劣る。
第2問
設問1
答案の再現はできませんが、完全に間違えました。
設問2
最後の最後に解いたため、
日本語での説明もなく計算をとにかく細かく分けて書き、 部分点を狙いました。記録はできていません。 最後のNPVだけは、55.46 と記録があり、予備校の回答とも合っているのでおそらく正解です。
最適な意思決定の番号 1
- この問題は計算量が膨大になりそうだ、と予想し一番最後に解きました。
- その中でも、後半の(b)から解き始めたのですが、この問題を解くために必要な要素が(a)の方に記載されている、と言うトラップに引っ掛かり、かなり時間をロスしました。
- 計算過程に、部分点を稼ぐための日本語での説明文を書く余裕が全くなくなり、とにかく必死で血眼になって計算をしました。
- 後から振り返れば、しっかり解ける問題になっていたのですが、初見ではかなり厳しかったです。
第3問
設問1
のれんとして計上し、適切な期間で償却する。
設問2
シナジーを発揮し黒字化できるか慎重に検討するべきである。
- 設問1は爆死しおそらく0点だと思いますが、設問2は得点になっていると思います。
第4問
設問1
戸建て部門のROI 4.31
D社全体のROI 2.55
設問2
4.26
- 設問1は予備校の回答とも一致。設問2は爆死していると思います。
設問3
問題点 短期利益志向になり中長期的な成長のための投資を怠らせる
改善策 中長期的な成長率などを盛り込んだ評価指標とする。
- これもおそらく、それなりに得点になったと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。