旅の終わり、映画のはじまり

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『新聞記者』(Netflixドラマ版)

 

 映画版はオチがトンデモ陰謀論に突き進んでいくのが、本当にもったいなく思っていた。それはどうやら自分だけではなかったようで、町山智浩さんの作品紹介でもそのように語られている。

 

 


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 今回は森友学園公文書偽造にしっかり的を絞っており、キャストも豪華になって非常に見ごたえのある仕上がりになっている。冒頭のツイートでも書いたが綾野剛の演技が素晴らしい。ユースケ・サンタマリアの、現実の複数の人物を闇鍋にしたようなキャラクターも最高だ。内閣情報調査室の上司の笑顔の怖さには震えた。

 この作品の素晴らしいとことはこれら役者陣の重厚な演技と、このような現実の政治状況そのものを扱った作品が(外国資本とはいえ)日本で制作され、そして多くの人に見られたということだろう。

 ただ残念に思うのは、フィクション作品としてストーリーが冗長な面があること、そしてやや説教臭さが抜けないところだ。三話ぐらいまでが現実に起こった事件の再現映像のような展開に終始する。お話として面白くなってくるのは4話目ぐらいからで、これでは日本はともかく、世界に配信して海外でも見られるようにはならないだろう。理想をそのままセリフで語るような場面も多い。

 傑作ではあると思うのだが、期待していた以上のもの、観たことのないもの、予想を裏切る何か、そういったものが欠落しているのが本作の惜しいところ。

 このような系譜の作品は今後も作られ続けて欲しい。次回作に期待したい。

 

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