旅の終わり、映画のはじまり

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映画『はちどり』感想

 映画 はちどり 渋谷のユーロライブで鑑賞して参りました。

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 ネット上では主に男性の映画ツイッタラーの方が「自分には合わなかった」という旨の発言をいくつか見ておりましたが、私にとってはとても大切な一本になりました。今年ベスト級です。

 この映画の感動的だったポイントは、世間の目、家父長制、学歴社会など、自分の人生の価値と直接関係ないはずの外圧を内面化して壊れていく家族や友人や恋人に対して、タバコやディスコと行った表面的な反抗からやがて、真の反抗を身につけていく主人公の強さに胸を打たれた、というところです。

 加えて、ストーリーとしては淡々と進んでいく話を飽きさせずに見せる撮影・演出・脚本も、とても素晴らしかったと思います。

 観賞後にオンラインで監督のトークショーがあり、その中で印象的だったことがあります。

「人生において、消化できない記憶を抱えたまま生きて行かざるを得ないような時、監督はそうした気持ちとどう折り合いをつけていますか」と言う趣旨の質問でした。

 監督の答えは、「瞑想をして自分と向き合う。それでも消化できない場合は、相手に謝罪を求めます」との回答でした。加えて、監督自身が現在進行形で(当日の朝だったそうです)、自分を高校時代に虐めていた女性の先輩に、メールで謝罪を求めたばかり、と言うお話もされていました。監督自身、「どう生きるのが正しいのか」を考え続けているともお話しされていました。

 この映画ではとある人物に起こった悲劇によって、とある「問い」に対する答えは「また今度会ったとき」つまり、この人生の中では正解を確かめることはできなくなってしまいます。これは「良い人生とは何か、考えることを止めるな」と言う監督からのメッセージなのだと思いました。

 


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